いい酒を造る。この1点を叩き込まれた蔵
《コスト高になっても品質を目指せ》
猪又酒造は田中哲郎先生の一門(研醸会16蔵)。新潟名酒の父と言われ、酒質向上の指導に全力を注いだ人。その指導はとても厳しく途中で離脱する酒蔵も多くあった。
※研醸会…戦後新潟財務局鑑定官田中先生の指導受けた蔵の会
現社長蔵元の名前も哲郎、両親が田中先生から頂いて付けた。
この一門が日本酒を変え、新潟の酒の礎をつくりました。叩き込まれたのは「いい酒を造る」この一点。この蔵の精米歩合(米を削る割合)が高いのはその表れの一つ。
この蔵はこれまで三増酒を造ったことはない。
食中酒を目指すこの蔵は立ち過ぎる香りを嫌い香りを抑えた酒で品評会に出品した。香り立つ酒、味の立つ酒が有利と言われる中での金賞受賞は高く評価だ。
当時田中先生の後をついて行くのは大変だったと言います。いい酒=コスト高、厳しい教え、田中先生が来る日は蔵の空気がぴんと張っていたといいます。子供だった社長は田中先生が怖かったと言います。